眠れる奇才デザイナー

ファッションデザイナーやアーティストでゲイは多いとは昔からよく聞くけれど、それじゃあ総数からいってどのぐらいがゲイかなんて計りようがないのが実際のところ。ただ、ファッション界の大御所でゲイだと公表している人は多くいます。



2010年にわずか40年でその生涯を閉じた偉大なデザイナー、アレキサンダーマックイーン。

彼はイギリス生まれの男性デザイナーで、「異端児」「アンファン・テリブル(恐るべき子供)」と評されながらも、その劇的なデザインは多くの人々を虜にし、ケイト・モスやレディ・ガガなどを顧客に抱えていたほか、ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを4回も受賞している輝かしい経歴の持ち主です。

このBjorkのHomogenicのジャケットの衣装も彼が手掛けました。


そんな彼はプライベートに関しては多くを語らないものの、セクシャリティについてはオープンな姿勢で、早くから同性愛者であることを公表しており、2000年にはドキュメンタリー映画を手がけるジョルジ・フォルシスさんと結婚式を挙げて注目されました。

私がマックイーンを知ったのは、服飾科がある高校に通っていた2年生のとき。(私もかつてはデザイナーになりたかったのデース)
日本を代表するモデルの冨永愛さんが2003A/Wで吹雪の中を雪女のごとく歩いたショーの、その圧倒的な世界観に魅了されたのがきっかけでした。
http://www.alexandermcqueen.net/int/en/corporate/archive2003_aw_womens.aspx

チェス盤に見立てた舞台を、彼の作品を纏ったモデルが駒のように動いた2005S/Sのショーも、まるで1本のファンタジー映画を観ているかのように素晴らしくて、昔も今も同じようなきもちで感動します。




http://www.alexandermcqueen.net/int/en/corporate/archive2005_ss_womens.aspx

当時の私にとってCHANELが「高貴で、一生廃れることのない永遠のブランド」ならば、マックイーンは「革新的で、いつも期待を多いに裏切ってくれるブランド」でした。思いもつかない素材の遊び方だったり、凝視せずにはいられない複雑な構造を成したパターン、細部まで作り込まれた繊細な装飾など、それらすべてが芸術的なのです。当時はマックイーンがゲイであることは知りませんでしたが、彼のあんな素晴らしいクリエーションをそばで見てる恋人はどんなきもちなんだろう?と思いながら、私も真っ白なケント紙に向かいデザインに勤しんだものでした。

マックイーンは、たくさんの功績を残してこの世を去りました。
UNIQLOやFOREVER 21などのファストファッションが次々に台頭する昨今、低価格でトレンド重視のファッションではなく、着ることで夢や憧れまで抱かせてくれる彼のようなデザイナーがいなくなったことは本当に残念でなりません。しかし、亡き彼のクリエーションに感銘を受けたデザイナーの卵たちがその殻を破り今にも飛び出さんと、凌ぎを削っていることでしょう。

いちファンとして、ファッションに輝かしい光を与えてくれたマックイーンに賞賛の拍手を贈りたいです。



yacco