映画「アデル、ブルーは熱い色」感想文

映画アデル

<感想文ですので、映画の内容に触れています。ご注意ください>

映画「アデル、ブルーは熱い色」を鑑賞しました。2013年の第66回カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞作品。カンヌで審査員長を務めたスティーブン・スピルバーグさんが絶賛し、チラシにも熱い文章を寄せています。

映画はとてもおフランスな映画で、友情も愛も性愛もそして授業風景にも哲学が香ります。ストーリーを短く言ってしまえば、高校生のアデルが美大生のエマと運命的な出会いをし、愛し合い、別れていく姿を3時間かけて描いている。なのですが、二人の間が順調で愛し合っているときですら、その姿は「エマちゃーんとアデルちゃーんのラブラブ♡ムービー」という描写ではなく、ふたりがそれぞれ、何かをどこかに求めている、そんな姿に見えるのです。

フランス語の原題は「アデルの人生 – 第一章と第二章。 (La vie d’Adèle – Chapitres 1 et 2)」。英語の直訳は「青色は最も暖かい色 (Blue Is the Warmest Colour)」日本語題は「アデル、ブルーは熱い色」。ちょっとずつニュアンスが違いますね。

スクリーン上では、エマの髪の色はもちろん、いろいろなところで「青色」が目に入ってきます。これも青、あれも青。原作のコミックスは未読ですが、この「青使い」は映画版の特徴なのかもしれません。

とはいえ、ストーリーは原題そのままの「アデルの人生(生活)」を描いています。毎朝ぎりぎりにバスに乗り込み、学校に行き、勉強し、友人たちとおしゃべりし、家族とご飯食べて、一日終わって、そして寝る。そしてまた翌朝もバスはぎりぎりで。

そんな普通の生活を送っていたアデルが、道ですれ違った青い髪の女性に一目惚れをし、再会を果たし、付き合うようになる。画家のエマはアデルをモデルにして画を描き、アデルの文才を信じて、アデルに書き物をせいと勧めますが、アデルは一向に制作には興味がなさげで、教師になって子どもたちに文学の素晴らしさを伝えるという目標を着実に確実に実現していきます。
エマのアーティスト仲間を集めたパーティでも、アデルはお給仕に徹し、エマの友人たちとの親交も、職場の同僚との付き合いですら、あまり積極的ではありません。念願の先生になったし、愛するエマはいるし、「もう人生これで充分」とでも思っているかのように。

アデルがエマにのめり込み夢中になる姿は描写されているので比較的分かりやすいのですが、画家のエマは、アデルのどこに惹かれて、どんな関係を期待していたのでしょうか。アデルに文才がある設定ではありますが、本人のやる気も、その根拠もほとんど描かれておらず、 一目惚れですれ違ったときにはエマは誰かと肩組んで歩いていたし。その上、あんな別れ方をしても自分の個展の案内をアデルに送るが、現われたアデルを特別扱いするでなく、二人の関係に関しても新しい何かを期待などしていない様子。原作を読んだらエマの感情がもう少しよくわかるのでしょうか。

で、映画の感想は?よかったのか、どうなんだ、と聞かれたら。なんと答えるかちょっと考えてしまいます。

「なんとも心に残りじんわりくる映画」でしょうか。「すんばらしい!大好きな映画!今年のマイベスト!」という感慨はないのですが、とはいえ、苦痛の3時間でも、1800円は高かったなどとも、感じません。ふとした時に、アタマに浮かぶシーンがあったり、しかしアップが多かったな、などとストーリーとは関係ない変な点が思い出されたり。

どんな映画か興味あるー、という方には、”フランス映画、それも3時間。いいですね?” という前置詞付きで「お勧めします。ぜひ見てみてください。そして感想を教えてください。」とお伝えします。(R-18指定ですので、ご注意を。)

最後に、例の「歴史的」セックスシーンについてですが、これは本当に長いです。絵画のようで美しい、と評されてもいるようですが、「美しさ」と「長さ」は違うと思うので、この長さへのこだわりについて、監督の話を聞いてみたいと思いました。

原作のコミックスには続きがあり、映画も続編ができるのでは、とウワサされています。続編ができたらきっと見に行くと思います。そして実はアデルは、実在する著名な作家の若い時代を描いていたお話でした、というような設定だったらおもしろいな、とそんな妄想をしています。

映画『アデル、ブルーは熱い色』公式サイト http://adele-blue.com/

原作はフランスのコミックス。ジュリー・マロ / ブルーは熱い色 http://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK059