【コラム12号】「覚えていますか、三単現のS」

web gossip 新聞 第12号 2017年9月配信

<覚えていますか、三単現のS>

待ち合わせの時間までまだ少しあったので、書店のNHKテキスト売場をチェックしていたら、年配の女性がすたすたとやってきて、英会話のテキストを手にし去っていきました。 この店で毎月このテキストを買って、放送を毎回きちんと聴いているのだろうな、と思っていたら、その後すぐにやってきたのは60代と80代の母娘と思しき二人で、お母さんの方が「テレビとラジオを間違っちゃだめなのよ」と言いながら、フランス語のテキストを慎重に選んで買っていきました。

いずれも年配の方たちだったので、いつか時間ができたらやろうと思っていることを実践していてすばらしいなあと思ったものの、いや、もしかしたらとても忙しい時間をやりくりして語学を勉強しているのかもしれない、と思い直し、私も負けていられんと、奮い立つ気持ちになり、「まる得マガジン 禅の言葉で暮らしをグレードアップ 実践! 一日一禅」を立ち読みしてきました。

そこで思い出したのは、少し前にニュースになった、英単語 ”They” (彼ら)の単数代名詞用法についてです。 通常”They”は複数の人たちを表す単語ですが、ひとりの人を表すときにもこの ”They” を使用できるようにするという記事でした。

”He”(彼) や ”She”(彼女) との使い分けは、敢えて男女の性別で区別して表現する必要がない時や区別したくない時に使うことができ、そのための新しい単語を作リ広めていくことに比べ(Zeなど)、”They” という既存の単語を使うことは、とても自然な流れだと感じました。

”You”(あなた) という単語は単数形も複数形も同じ ”You” なので、”They” も単複三人称(彼ら、彼女、彼)を意味する言葉になっていくのではないでしょうか。 ”He”や”She” は引き続き使われ続けていくとしても。

日本語ではどうかと考えてみると、主語や目的語すら省くことがある日本語では(*1 )、まず三人称を使わずに会話が成り立つ場合が多く、使う場合でも、「彼女」や「彼」という単語ではなく、個人名や「あの人」「その人」という単語で表現することが多い気がします。

また、恋愛対象を表す場合は、人物が特定されている場合と、されていない場合がありますが、個人名や、「パートナー」「恋人」「好きな人」「付き合っている人」「気になっている人」「誰かイイヒト」など、男女を限定せず、「人」というすばらしい単語を使った言葉に置き換えても不自然ではありません。

これからは、他の人の恋愛対象を指す場合には男女の区別無い「人」を使い、自分自身の恋愛対象を指す場合は「彼」「彼氏」「彼女」など男女の区別をしてもよい、というような使い分けが浸透していくといいなと思っています。 マナーの感覚もプラスして。

では次回もお楽しみに。
タキタリエ

*1 「好きなの?」 は英語では「Do you like her?」 とわかりやすいのですが、日本語では誰が誰を好きなのかを明確にせず文章にできるので、「好きなの?」 「誰が?」「あんたが」「誰を?」「あの子をだよ。」という面倒な会話が成り立つのですね。

参考資料:
+ えっ?英語「They」にこんな意味もある……その深いわけ https://www.buzzfeed.com/jp/bfjapannews/cf-aps?utm_term=.nv2qW2nx5
+ they – English Oxford Living Dictionaries : https://en.oxforddictionaries.com/definition/they
third person plural singular Used to refer to a person of unspecified gender. ‘ask a friend if they could help’