【コラム22】「心強い辞書」/ 「Imagination and a dictionary」 | web gossip

【コラム22】「心強い辞書」/ 「Imagination and a dictionary」

gossip ニュースレター vol.22/2014 7月配信

「心強い辞書」

2012年屋さん大賞受賞作、三浦しをんさんの『舟を編む』を読みました。

内容は、「玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に引き抜かれる。問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか──。言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげる長編小説。」です。

本の中で、『その言葉を辞書で引いたひとが、心強く感じるかどうかを想像してみろ』という辞書編集者のセリフがありました。小説とはいえ、辞書を作る側にそのような視点でユーザーのことを考える設定を、とても興味深く感じました。(否、設定ではなく本当にそのような編集者は存在するのかもしれませんが。)

「心強く感じる」こと。 “自分が心強さを感じる”、のではなく、自分の対する人が心強く感じられるように想像し慮り配慮すること。

それは、たとえば『恋愛』という言葉を『三省堂 Web Dictionary』で引いた時に、『互いに愛情を感じ恋い慕うこと』とあり、ではその『愛情』の意味はと調べてみると『愛する気持ち』とあり、では『愛する』の意味を調べてみると『(1) かわいがり大切にする(2) 好む(3) 恋する』と表記しています。

google検索「辞書」トップ表示の『goo 国語辞書』で同じ単語の『恋愛』を引くと、『特定の異性に特別の愛情を感じて恋い慕うこと。また、男女が互いにそのような感情をもつこと。』とあり、あえて『異性』と『男女』という言葉を使うことで、単語の意味を限定しています。

少ない単語を使っている方が広い意味をもっていて、より多くの単語を使って説明していることがかえって意味を限定している。

同性を恋愛対象としてみたことが一度もない人にとっては、「そんな小さなこと、めんどくさーい」ことかもしれません。または、「おー、そう言われてみれば、あえて男女とすることもないか。自分はどっちでもいいけれど。」と思うことかもしれません。

しかしながら、恋愛対象に同性が含まれる人(特に子どもたちやヤングたち)にとっては、そんな「小さな」表記の違いが「心強く」感じられたり、がっかりしたりと、大きな意味と影響力を持つのです。もし私がそんな子どもだったら三省堂の辞書を信頼し、同じ単語を何度も何度も引くことで、不安な気持ちを払拭していたと思います。

今回のキーワード「心強い」を『三省堂 Web Dictionary』で引いてみると、『頼りになって安心だ. 』とあります。『安心』。この言葉は私たちが、開店当初から『gossip=安心していられる場所』として意識して使っている言葉でしたので、いろいろな言葉がめぐりめぐって、『舟を編む』を読んだことがきっかけになって、改めて初心を思い出し、気を引き締め、もっと語彙を増やして、単語ではなく文章できちんと会話することを心がけようと思った次第です。

では、次回もお楽しみに。
タキタリエ

「Imagination and a dictionary」

Read a novel called “fune wo amu” by Miura Shiwon. This novel won an Award by Book Stores, the most recommended book of the year, and also it became a movie and also won some awards.

The story is about a guy who works in the sales department of the publishing company, but he does not fit there. But because of his character and particularity, he was asked to transfer to the editing room, where they plan to publish a brand new dictionary. And so on and on.

In this book, there is a line “Imagine if people will feel safe when they look up a word in this dictionary.”

I was quite surprised to face this line, because i never thought “a dictionary maker” cares about the user. Of course they must care about the accuracy of the word, but about the user’s feelings ? Even in a novel ?

I picked up two dictionaries and look up a word “LOVE(ren-ai)”. One dictionary says “to care about each other”, and the other says “to feel special feeling about a person of the opposite sex. or having those feelings between a man and a woman.”

The 1st dictionary uses less words to gives wider meanings to the word, and the 2nd one uses more words to limit the meanings. Very interesting.

This kind of difference do matters and clearly shows how the editors “care and imagine about the users.” I knew each dictionary has different meanings on some words, but now i feel those difference may have come from the editor’s heart.

Reading this novel, i recalled few years back when we opened “gossip”, how we worked to select some words describing ourselves. As we saw, using more words does not mean to have better meanings.

Thank you for reading.
Rie Takita

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