【コラム19】「世界一周とサイボーグ」/「World Travel and cyborg」

gossip ニュースレター vol.19/2014 4月配信

「世界一周とサイボーグ」

石ノ森章太郎の『サイボーグ009』。アニメ、映画などで、キャラクターのビジュアルは見た事はあるけれど、プロットやキャラクターの名前を把握しているという方は、少ないのではないでしょうか。

「週刊少年キング」で連載が開始されたのがなんと1964年。完結前に作者が亡くなったため、連載は未完のままでした。が。2014年の今年は連載開始から50周年の記念イヤー。完結編である最終巻が刊行されるそうです。

そんな『サイボーグ009』の9名のメンバーは、出身地も年齢も経歴も職業も性格もみんなばらばら。各自の特徴をお互いが生かし合い、チームとなって私たちのために戦ってくれていたのです。そう、50年前に「週刊少年キング」に描かれた漫画には、多様性に富んだダイバーシティなチームが一丸となって戦う姿が描かれていたのです。

石ノ森章太郎がこの連載を開始する3年前、すでに売れっ子だった23歳の時、出版社の協力を得て、世界一周旅行に出ます。70日間で地球を一周し、世界を歩いた経験が、『サイボーグ009』のキャラクター設定だけでなく、その世界観に、またその後の作品のテーマにもとても大きな影響を及ぼしたことは想像に難くありません。機内で読んで触発されたといわれるアメリカの雑誌「LIFE」には「サイボーグ」が月面で作業をしているイメージ図と記事があったそうです。最初の目的地に到着する以前に、まだ日本を発って数時間しか経っていないのに、すでに何かを見つけていたのですね。

『サイボーグ009』の簡単なプロットは、「戦争を商売にする死の商人『黒い幽霊団(ブラック・ゴースト)』が未来戦争計画と称して、世界各地で人間狩りを開始し、改造人間の開発に着手する。サイボーグを造ったギルモア博士は、自分が騙されていたことに気づき、9名のサイボーグと脱出。長い戦いが幕を開けることとなる。」

子どもの頃わくわくして「サイボーグ009」を見ていた人たちには、自分が ”009″ のメンバーに入り込み共に戦う妄想をした人も多々いると思います。
自分以外のメンバーの年齢や国籍や肌の色や目の色が、たとえ自分とは違っても、むしろ違うからこそ、頼もしく力強く感じていたはず。
そんな気持ちを今一度思い出し、何かをインプットしようという気持ちを持ち、現在の自分の周りをみてみると、石ノ森章太郎のように「大きな何か」を見つけることができるかも、しれません。そんなことを思いながら、自分にも期待しながら、”009″ のファイナル・エピソードを待つことにします。

では最後に「チーム・ダイバーシティ」である、”009″ の9名を簡単に御紹介してコラムを終えます。

009=島村ジョー
主人公。18歳、日本人の母と国籍不明の父の間に生まれ、孤児院で育つ。ハーフであり孤児でもあることから差別や偏見に晒されていた。
万能型のサイボーグ戦士であり、リーダー的存在。

001=イワン・ウイスキー
0歳のロシア人。あだ名は「電子頭脳」。生後間もなく父親が頭脳改造手術を施し、成人の10倍の脳の働きを持ち、エスパー能力を身につけている。(エスパー能力ってなにさといえば、”読心,透視,予知などESP(超感覚的知覚)を持つ人間” の事です。)

002=ジェット・リンク
18歳~22歳のアメリカ人。ニューヨークのストリートギャングのリーダー。人を刺して警察に追われていた。脚部に埋め込まれた飛行ユニットにより、空中を自在に滑空する能力があるが、普段はレーサーをしている。

003=フランソワーズ・アルヌール
16歳~19歳のフランス人。聴覚と視覚を強化されたサイボーグだが、格闘能力や射撃能力も高く『生身の恐竜なら倒せる』との発言も。地球上のほぼ全ての言語で意思疎通が可能で、普段はバレリーナをしている。

004=アルベルト・ハインリヒ
28歳~30歳、ドイツ人。「死神」と呼ばれる。恋人を連れてベルリンの壁を越えようとし失敗、彼女を失い自らも重傷を負う。改造時「人体のどこまでを機械化することが可能なのか」という実験材料に使われたとされ、体中にミサイルやマシンガン、原爆までが組み込まれている。

005=ジェロニモ・ジュニア(G・ジュニア)
27~31歳。ネイティブアメリカン。インディアンとして差別迫害を受けていた。装甲皮膚と、超高出力エンジンと最新式の人工心臓による怪力を持つ。サイボーグとしての能力とは別に、シャーマンのように自然の声を感じ取ることが元々可能で、動物や精霊と会話を交わしたりすることができる。

006=張々湖(ちゃん ちゃんこ)
40~42歳の中国人。貧乏な農村の出身で、干ばつのため生活苦にあえぎ首吊り自殺をしようとしていた。
体内に高圧縮エネルギー炉を内蔵し、高熱火炎を口から放射する能力を持つ。地面をも溶かせ、地中行動も可能。中華料理店の経営者兼料理人で、火炎放射の能力は、料理や喫煙など日常生活においても活用している。

007=グレート・ブリテン
40~45歳のイギリスはリバプール出身。超一流の舞台俳優だったが、酒で身を持ち崩し役者としても駄目になり、浮浪者同然になっていた。
でべそに仕込まれたスイッチを押すことで、細胞組織を変化させ、人間や動物といった生き物のみならず、無機物にでも変身する能力を持つ。張々湖が経営する「中華飯店 張々湖」の共同オーナーであり、張々湖とは互いを『人生の友』と認める仲。

008=ピュンマ
21~22歳。アフリカ某国出身。深海活動用に改造されたため、あだ名は「人魚(マーメイド)」または「半魚人」。普段は、密猟取締官であり、大陸の貧困や偏見・迷信を解消しようと努め、アフリカの自然を守ろうと考えている物静かで真面目な青年。
設定は時代と共に変化して、「アフリカ原住民の酋長の家系に生まれた青年で、人身売買組織の奴隷狩りに遭い逃亡中にブラックゴーストに助けられ、そのまま拉致されて改造された」設定は現在では問題視されるため、平成版アニメでは原作にあった「アフリカの某国出身。祖国の解放運動に身を投じたゲリラの闘士とされ、罠で自らの部隊が全滅した上に、ブラックゴーストに不意打ちを受けてさらわれ改造された」と変更されている。

次回の配信をお楽しみに!
タキタリエ

参考資料;
「サイボーグ009」50周年:石ノ森WEBサイト ~変身!~ http://www.ishinomori.co.jp/009_50th/
雑誌 PEN No, 520 『完全保存版 サイボーグ009完全読本』
wiki http://ja.wikipedia.org/wiki/サイボーグ009の登場人物

– in English –

「World Travel and cyborg」

Have you ever heard of Japanese manga/animation “Cyborg 009” by Ishinomori Shotaro? It originally started back in 1947 on serialized weekly comic book, and Ishinomori died before completing the story, so the story was never completed for a long time. This year 2014 is the 50th anniversary of this “009”, and they will finally publish the Last episode, to complete the series.

The brief plot of “009” is that the evil merchant of death “The Black Ghost” tries to capture people all over the world to change them into “cyborg” for their “Future War Plan”. The doctor in charge of the cyborg operation soon realized he was deceived and used by The Black Ghost. He decided to escape from the place with nine cyborg he created and decided to defeat The Black Ghost.

The nine cyborg have various background. Each of them has different age, occupations, characters and nationalities, but they work very strongly as a team. Yes, we had a very good sample of Diversity 50 years ago here in Japan.

Anybody who were at least once fascinated with “009” should remember how you felt when you were kids, watching “009”. In your imagination, you were one of the members of “009”, so your colleagues were from all over the world, male and female, with age under 20’s and also seniors, and some had a different colors of the skin and eyes from yours. You must be feeling more powerful and stronger to be surround by various personalities.

Let’s not forget about those feelings and i am looking forward to the final episode coming up later of the year.
Rie Takita