読書感想分「五つ数えれば三日月が」 | web gossip

読書感想分「五つ数えれば三日月が」

日本の信託銀行で働く台湾生まれの「私」は、台湾で日本語教師として働き、子持ち再婚の夫とその両親と暮らしている、日本生まれの「実桜(みお)」と、池袋の中華料理店で5年ぶりに再会する。

実桜を思い、時間が止まっていた「私」は、この限られた時間で空白の時間を埋めていきたいけれど、相手の気持ちはわからない。伝えているつもりではあるけれど、伝わっているのか、いないのかも分からない。今、目の前のこの人は、台湾の大家族と幸せに暮らしているのか、どんな気持ちでここにいるのか。

相手から学友との再会以上の何かを感じ取れないまま時は過ぎ、一緒にかき氷を食べ、花火をし、この人にはこんな一面があったのか、とお互いを新しく知りながらも、別れの時間がやってくる。

子どものころ、自分がこの場所にいてもいいのかを、投げた石の裏表で占った「私」は、おとなになった今また、石を投げてその結果に従おうと決める。これもひとつの決断。

自分がこうしたいからこうするのではなく、あることの結果に決断を任せる決め方は、運に任せて生きるていく強さとは少し遠い気がするけれど、なにも行動せず、彼女のために作った詩も渡せずに「お元気で」と別れ、また明日からいつもの生活に戻っていくことに比べたら、「私」にとってはそれはとても重い決断だったんだろうな。決断する決断のステップ。

「私」が作る漢詩(七言律詩)、拝拝などの台湾の風習、聞きなれない中華料理のメニューや独特な食べ方など、興味をそそられるワードが多く、いろいろ調べながら読んだ小説。そして、2011年の春も桜は咲いていたのですね。

さらっと読まずに、じっくり読めてよかった小説でした。夏休み、帰省、お盆、いろいろ考えるこの時期に読むにはとてもよい小説です。ぜひ。

五つ数えれば三日月が  李 琴峰
第161回芥川賞候補作https://www.amazon.co.jp/dp/4163910875/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_qJ5uDbWZ8X7ER

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